そして、とうとう“その時”は来てしまった。
急に体中が痛くなり、意識が途切れる。

「ーー!!」
走って僕の方に来る少年。
「じゅ…ん。何、で泣いて…んだ…よ?」
途切れ途切れで、普通に話す事すら出来ない。
「何でって…そんなの…」
大粒の涙を流し、言う純。
「ねぇ、ぼ…くさ。じゅ…んには、か、ん謝…してる…んだ」
「え…?」
「僕、に…生き…る希、望を…与…えてく、れたの…。純…なんだよ?」
あと、愛も…ね。
「ーー!!嫌だ!!置いてくなよ!!1人に…しないで…」
うなだれる純を見て、微笑みながらこう言った。
「あ、り…がと」
純の両手にあった左腕がズルッと落ち、呼吸が止まる。
さっきまで出していた涙より更に大粒の涙を流す純と一緒に、僕のお母さんも泣いていた。
愛にも、結局気持ちを伝える事が出来なかった。

ー僕は、神様になるよ。

ー命を無駄にしないように、終わりをつくるんだ。

ー誰も悲しまないように…。

「と言うわけ…。でも、僕は神様になったきり何もしていない。出来てない…」
全てを話終えたアランの事を、ティラは、ただ見守る事しか出来なかった。
「アラン…。お前は、きっと…。神様にはむいていないんだろう」
「分かってる。それくらい…」
よいしょっ。と言って立ち上がったアランは、ぼうっと空を見上げる。
「…あのな。アラン…。調べてみたんだが…ルーシ湖周辺に、愛香なんてやつは存在しなかった」
「どういう…」
ルーシ湖は、愛香と出会った湖。
「だからそいつは、愛香なんかじゃない…。きっと、愛ってやつだ…」