「お留守なんでしょうか・・?」



「どうなんだろう・・。まさか寝ちゃったとか?」



「いくらなんでも殿下がこの時間に就寝なさっているとは思えないのですが・・」



2人揃って廊下で困惑してるとギーっという音とともに隣の部屋のドアがひらいた。



ティアスの部屋の左側、執務室から顔をのぞかせたのは側近のカウリだった。



「なにか声が聞こえると思ったらシェイナさんにルイアじゃないですか。こんな時間にどうしたのですか?」



いきなりでてきたカウリに2人とも顔を見合わせルイアがカウリの質問に答える為に口を開いた。



「いえ。あの、殿下に用がありまして・・それでうかがったんですが」




「殿下に?」



「はい。あの・・ティアスはどこに・・?」



「部屋にいないのでしたら多分まだ書庫に」



「書庫・ですか・・?」



「はい。調べ物のためにこの頃は執務が終わるとすぐに。ですからあまり寝てないみたいですよ」



「調べ物って・・?」



「あなたを異世界に返すためのものですよ」



「わ、わたしを返すためにティアスは書庫に・・?」



「はい」



それが当然かのようにうなずくカウリにシェイナは自分の為にティアスが無理しているとわかるといたたまれなくなり、カウリにお礼を言うとルイアに書庫に連れってほしいと懇願したのだ。