パーティ会場はすでにたくさんのゲストで賑わっていた


いったいどれだけの著名人が招待されているのだろう


その方面に疎い私ですら見知っている顔がたくさんある


あっちを見てもこっちを見ても

華やかなオーラを放つ人物達が談笑している


あまりのまばゆさに眩暈を起こしそうだ


彼の属している世界がそこにあった


頭では分かっていたし、想像もしていた


しかしこうして実際にその光景を目の当たりにすると

想像していたよりずっと大きなショックを受けた


来たことを少し後悔した


こんな場にはとても馴染めそうもない


その時、会場の奥に、ひときわ輝くひとりの青年と

青年を取り囲む美女の一団が見えた


彼だ


会場の絢爛な装飾や

美女達の豪奢なドレスにも負けない輝きを放っている


彼は確かに彼なのだが、あの彼が本当にこの彼なのか?

自分でもわけが分からないことを考えた


まるで別人を見ているようだった


すると彼は、彼から遠く離れた入り口付近に

呆けたように立っている私に気づいたようだった


小さく右手を上げると

(ハイ!ディー)

彼の口がそう動いた


私も小さく手を上げてみせ

「ハイ」

と答えた


そうすると彼は

周りを取り囲む美女のひとりひとりに

何か言葉を掛けながら、一歩ずつこちらに歩み寄って来た