「研究室の仕事は少しセーブするといい。僕がチームには話しておくから」

「はい。‥ありがとうございます。」


研究室の仕事はセーブ、と聞いて
少し寂しい気がした


「優秀なキミに力いっぱい働いて貰えなくなるのは大変な痛手だが、こればかりはしょうがない」

教授は“困った”という感じで眉根を寄せた


「私がキミを推薦しておいて、矛盾しているのだがね」

教授はほほ笑んだ


「君が人生経験のひとつとしてこういう仕事をすることはプラスになると考えたんだ。もちろん、君のような優れた人物を家庭教師として迎えることが出来る先方にとっても大きなプラスだ」

そう言うと教授は右手を差し出した


私はその手を握った


「頑張りたまえ。何かあったら私のところへ言いに来るといい」

「はい。推薦してくださった教授のお名前汚しにならないよう、精一杯頑張ります」


そして私はその翌月から
“彼”の家庭教師として働くことになった