グイッ−−
ふわっ−−
ぽすんっ−−
咄嗟に何が起きたのかはわからなかったけど、言葉にすればこんな感じだったと思う。
「まだ帰らないで…」
切なげに訴えてくるコータ君の声が聞こえた時には、私の体はソファーに舞い戻っていた。
「ちょっ、ちょっと…」
「まだ俺、ちゃんと話してない」
しかもコータ君の声は私の肩辺りから聞こえてくる。
吐息がたまに耳に当たる距離で。
つ、つまり………私は今、コータ君に後ろから抱きしめられて………る?
きゃーー!!
ドキドキドキ…
背中に感じる温もりに、また勝手に暴れ狂う私の心臓。
「話って、何なのよ……?」
でもこれ以上勘違い女にはなりたくなくて、努めて冷静に問いただそうとしたんだけど、
「俺の……気持ち」
ゆっくりと返ってきた言葉に、
ドッキーン!!
また勝手に跳ねてしまった。
っつうか、いちいち過剰反応し過ぎなんだってば!
絶対この音コータ君に聞かれてんのに。
自分で自分の心臓にいちゃもんをつけてみるけど、
ドキドキドキ……
全く効果なしでイヤになる。
話の続きは聞きたい。
けどこのままじゃ、私の動揺振りが全て背中越しに伝わってしまう。
私は一つ大きく深呼吸をして、腰に巻き付いている腕を慎重に引きはがしながら問い掛けた。
「ちゃんと聞くから……教えてくれる?」
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