私だって伊達に歳をくってるわけじゃない。
それなりの相手とそれなりの経験はしてきた。
だけど だけどっ…!
「……あ…はぁん……」
キスだけで何なのこの声はっ!!
いつの間にか上下逆転していたコータ君の頭を自分から抱き抱えるような感じになっちゃってるしっ!!
……ああ……キスに溺れるってこういうことかもしれない……
出来ればずっとこうしてたい……
そう思えるほど、コータ君とのキスは心地よかった。
チュッ−−
最後にそんな可愛い音を立てて、離れていく唇に、
ああん…もっとぉ……
名残惜しさが込み上げてくる。
だから上目使いを駆使して、もっとちょうだい……?ココロの中でそっとお願いしたんだけど、
「……そんな顔しないでよ…」
色っぽく潤んだ瞳で見つめ返されるだけで、もうあのキスは降ってこなかった。
私、自慢じゃないけど、今まで男に対して“おねだり”なるものをしたことない。
というより、“ねだられる”方が断然多くて言う機会がなかったというかなんというか。
それは相手の歳なんて関係なくそうだったんだけど。
相談した香奈からは“根っからの長女気質だね”って爆笑されたくらいに。
でもでもっ!
篠原 明 25歳、
今から初“おねだり”を敢行したいと思いますっ!
そんな固い決意を胸に、
「コータぁ…もっと…」
心臓バクバクで頑張って“おねだり”したのに、
「ちょっと待って」
ぐいっと引き寄せようとした顔が、そんな無情な言葉を残して離れていくじゃあーりませんか(←誰?)
そ、そんな、殺生なっ!!
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