その瞬間、私の下でニヤリと笑う気配がした。
「可愛い……」
そして頭の後ろに回された腕によって、私の顔がコータ君の首元に密着する。
ドキドキドキ−−
私の心臓、壊れる寸前かも……
「どうして知ったかわからないけど、明さんが言ってる人って……」
頭の上から直接響いてくるちょっとハスキーな声。
“彼女だよ”
そう続く覚悟を決めて、私は下唇をキュッと噛み締めた。
「……母親だよ…」
「……へっ…!?」
「たまに仕事でこっちに来るんだ。
自分が忙しいからって、授業中だろうと構わずに訪ねてくるような母親だけど」
「お、お母さん……?」
「そう。普段は日本とアメリカで離れて住んでるけどね」
でもでも、
「噂ではモデルみたいな人だって……」
「アハハ、そんな噂があったんだ?」
「笑いごとじゃっ…」
楽しげに胸を上下させるコータ君を見上げて私は顔をしかめた。
でもすぐにその視界は遮られた。
「……んっ…んん…」
私の唇がコータ君の唇によって塞がれてしまったから。
その最中にも、私の脇に腕を回して器用に位置を調整するコータ君。
「……ふっ…んっ…」
おかげでくすぐったいし、開いてしまった口の中にはぬるっと舌が侵入してくるし。
「……んんんっ…」
私の口内を自由にまさぐるコータ君の長い舌が私の舌に絡み付く。
な…なにこれ……
今までしたどのキスより気持ちいいんですけど……!?
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