私がそれが何であるかを考える暇もなく、電話の向こうの沙穂は興奮気味に言葉を続ける。
『でね、でね、噂はあっても実際に目撃した子っていうのが私の周りに居なくてね』
「……う、うん」
『よく考えたら、今日がチャンスだったんじゃーんって気づいてさ。
……あーあ、噂の人見てから帰ればよかった、みたいな?』
「はは……そだね」
そんなことをされた日にゃ、私にとっては限りなくヤバイ状況になってたんだけど。
『で、実際見てどうだった?どのくらい綺麗だった?』
すでに私が目撃したことを前提に話す沙穂。
こいつは困ったな……
もうこうなったら……
「あー…、遠目にしか見てないし、顔まではちょっと……」
ごまかし半分、嘘つくしかないよね。
『マジ!? 相手の人ってもしかしてブロンド美人とかじゃなかった?』
「…は? なんで日本人じゃ……ないの?」
唐突な質問に私が呆気にとられながら質問で返すと、さも当然って声で沙穂は私が初めて聞くことを口にした。
『だって先輩、帰国子女なんだもん』
「………」
うっそーん!
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