見てない?って……
「アンタは見てない、わけ……?」
沙穂の質問に恐る恐るそう尋ね返すと、
『見てないから聞いてるんでしょ!』
思いっきり怒られてしまった。
………でも、これでほっとひと安心。
見られてないのか……
な、なんだ…、よかったぁぁ……
強張っていた体からストンと力が抜けて、私はベッドに上半身を預けて深い深〜いため息を零す。
「あは… あははは…」
『なんで笑うかな』
「いや、あははは…」
これが笑わずにはいられるかっつうの。
その後しばらく安堵からくる笑いが止まらなくなった私に、『いい加減にしないとマジで怒るよ』なんて散々悪態を付いていた沙穂だけど、
『ねぇ、さっきの言い方からして、やっぱり先輩の待ち人見たんでしょ!』
と、急に思い出したように鋭いツッコミを入れてきた。
「ゔ…あ…いや……」
『で、どんな人だった?噂ではモデルみたいな人だって聞いたんだけど?』
モデルっ!?
どう答えようかどぎまぎしている間に、やっぱり誰かに見られてたんじゃないかということを言われて、私はまたもや緊張の極地へと追い込まれた。
………お忘れかもしれませんが、一応これでも私、元モデルなんで……(汗)
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