「………で、何の用?」
半ばやけっぱちな気持ちでそう切り出すと、それまでキャイキャイ騒いでいた声がやっと止んだ、と思ったら、
『うん…、アキ姉にちょっと聞きたいことがあってね…』
今度はこちらの様子を伺うような沙穂の声が聞こえた。
こういう場合、だいたいの予想はついてしまう。
どうせ年上の私から見た彼氏の評価的なもんでしょ……?
「ふ〜ん… 何?聞きたいことって」
なかなか可愛いとこもあるじゃん、なんて気を取り直して余裕の態度で尋ねると、
『あのね、昼間に駐車場のとこに居た月島先輩のことなんだけど……』
「………ぶっ…!!」
意外や意外、出てきた名前はクソガキのもので。
な、なにを突然!?
自分の体が一気に硬直すると同時に、顔面蒼白もんの憶測が頭を過ぎっていく。
ま、まさか……
私とコータ君が知り合いだって気づいたとか!?
それとも……
コータ君が私の車に乗り込むのを見たとか!?
マズイ!!
どっちにしろ、めちゃくちゃマズイ!!
なななな、なんか言い訳しなきゃ……!
「あ、あのね…」
『アキ姉、先輩の待ち人見なかった?』
「………はっ??」
『だからね、先輩、あそこで誰かを待ってたでしょう?
昼から教室に帰ってこなかったってスバル先輩も言ってたし、その相手とどっかに行っちゃたんだと思うんだ……
ね、アキ姉は相手がどんな人か見てない?』
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