「はあああ……」
我が家に着くなり、私はまたもやひどい脱力感に襲われた。
あれから時計を確認するなり慌てて帰ってきたのはいいけれど。
なんだろう……?
このしっくりこない気持ちは……
今日もクソガキは、マンションのエントランスでただ私を見送っただけだった。
そう、キスの一つも無しに。
………なんで?
仮にも一緒のベッドで寝てたのに、なんで無理矢理にでも体の関係を要求してこない……?
………って、別に要求して欲しいわけじゃないけどさっ!
普通に考えて、自分の言いなりになる女が目の前に居たら、18かそこらのガキなら有無を言わせず襲うでしょうが。
しかも自分が『予約』した女よ?私は。
それとも何?
言いなりにしたのはいいけれど、よくよく考えたら、私の欠点ばかりが目に付いて、そういう気が起きないとか……?
“8歳も年上のババア”
“肌も体も下降気味”
“嫁に行きそびれたただの売れ残り”
…………クソッ、十分有り得るじゃねぇか。
言われたわけでもないのに、自分で自分にそんな不甲斐ないレッテルを貼って思いっきりへこんでいると、バッグの中からわずかに着信音が聞こえてきて、
……どうせ香奈辺りでしょ…
ろくに着信相手も確認せずに、私はテンションがた落ちのままケータイの通話ボタンを押した。
「はい…、ただ今ブルーな私に何の用?」
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