私の精一杯の抗議も虚しくドアは静かに閉まった。
「あのガキめ〜……」
残された私は、掛けられた布団をギリギリと握りしめながら誰も居なくなったドアに向かって呻く。
なにが“SEX出来なくなる”よ!
なにが“俺が困る”よ!
「冗談は寝て言えっつうの!……って、いたたたた……」
だけど情けないことに、気持ちとは裏腹にやっぱり腰は痛いわけで。
歳を取るってこういうことなわけ……?
言うことを聞いてくれない自分の体を恨めしく思いながら、ふと周りを見回した。
そこには、この前泊まった時は気付かなかったけれど、部屋の隅にぽつんとギターが置かれていて、
それ以外は観葉植物が一つと、空気清浄機らしきものが一つだけ。
まあ、どでかいクローゼットがあるからその中に物が沢山詰まってるのかもしれないけど………
「なんか……殺風景な部屋。まるでモデルハウスね……」
そのあまりの綺麗さに、私の口から自然にため息が零れた。
同じ男の一人暮らしだった康信の部屋に比べると、ここは生活臭のしない見せかけの家のようにも感じる。
「アイツって……マジで何者なわけ…?」
ただの高校生とは思えないんだけど……
そんなことを考えていたら、ふっと睡魔が襲ってきて、欠伸をするついでに目を瞑ると、
あー…… マジで今なら5秒で寝れる……
……眠い……寝ていいかな……
寝ても…………
宣言通り?数秒後には、私の意識は夢の彼方へと飛んで行ってしまった。
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