「いらっしゃい」
……っ…!?
「ど、どうも…」
「早く上がって」
「……おじゃまします」
約束?命令?通りにちょっとおっかなびっくり訪れた私を、満面の笑顔で待ち受けていたクソガキ。
こっちの気も知らないで、その様子は超ご機嫌。
そんなに人を思い通りに動かせるのが楽しいわけ……?
……………。
(自分に置き換えて想像中)
ニヤリ(←えっ)
………まあその気持ちもわからなくないけども。
ターゲットを、よりによってこの私にしたってのが忌ま忌ましい。
アンタなら“奴隷にして下さ〜い♪”って女がわんさか居るでしょうに。
ムカムカしながらリビングに入ると、そこにはなんともいい匂いが漂ってて。
ふと見たテーブルの上には、見るからに美味しそうな料理の数々が。
「なんで… 余りのお弁当食べるって……」
ロコモコ丼に、唐揚げのあんかけみたいなの、鮭のチーズ焼?、あとあと……
「ああ、それ、コンビニ弁当だよ。
そのまま食べるのは味気ないし、明さんを待つ間に、ちょっとだけアレンジしたんだ」
「えっ!?コータ君がっ!?」
「もちろん。あとサラダとスープも作ったから、適当に座って待っといてよ」
呆気にとられる私に余裕しゃくしゃく顔でそう言うなり、キッチンへと向かうコータ君の後ろ姿に、
7年も花嫁修行をしてきた私より、断然上手いじゃねぇか、この野郎………
アレンジって、お前はミスター味っ子かっ!(←え?知らない?)
なんとも言えない敗北感を味わったのだった。
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