「そういえば明さん、仕事はいいの?」






リビングで向かい合わせに「いただきます」をしたところで、コータ君が唐突にそんなことを言うから、呆れてしまった。






はっ、今さら……?






「いいよ。昼からの配達は明日の朝食用のパンばっかりだから、少しくらい遅れても」



「そうなんだ、よかったぁ」



「……っ…」






不意に向けられた無邪気な笑顔に、またもや顔がカッーと熱くなる。






ダメよ明、騙されちゃ!
さっきだってスバル君が、コータ君は遊び慣れてるみたいなこと言ってたじゃない。






ん?そういえば……






「コータ君こそよかったの?家に帰ったりして。誰かと待ち合わせしてたんでしょ?あそこで」






あんなひと気がない場所で。
それってつまり……みんなにバレたくない相手を待ってたんじゃないの……?




例えば……他校の彼女とか……




さっき鉢合わせした業者用駐車場の場所を思い出して、ズキンと傷んだ胸を無理に押し込んで私が尋ねると、






「………もう済んだからいいんだよ」







一瞬驚いた顔をしながらも、クスクス笑い出したコータ君が言った。






その反応がなんだか下に見られてる気がして私が顔をしかめると、






「だってその相手って明さんだから」






何食わぬ顔でコータ君はそう付け足した。






………えっ…??







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