居酒屋とは思えないR&Sの曲が流れる中、
「でも偉いよ、明は……」
さっきの康信の姿を思い出してまた落ち込む私に、そう言って香奈は新しく頼んだビールを握らせた。
「ちゃんとバイバイ言えたんでしょ?偉い偉い……
ま、どんどん飲め飲め!
ここは和人の奢りだからさ」
「ひ〜〜ん… 香奈〜〜」
香奈とはかれこれ10年以上の付き合いだけど、これほどまでに頼もしいと思えたことはなかった。
性格上、私の方が姐御肌で、香奈はそれを茶化すのが趣味みたいな女だったから。
「オニーサーン!生もう一杯!!
さ、失くした恋なんて忘れて今日はガンガン飲むよ!」
「うんっ!」
テーブルの向こうで、え!?マジで!?なんて顔してる和人君を無視して、
「明のこれからの明るいはずの未来に、改めて…」
「「カンパ〜イ♪」」
「……っつうか、“はず”は要らないでしょーが」
「ナハハハ… 聞こえてた?
ま、細かいことは気にすんな!」
「……ちっ…、自分ばっかり幸せ掴みやがって……」
「悔しかったら和人以上の男を連れて来なさいよーだ」
「ムムム……」
私と香奈は、宣言通り、飲みまくったのだった−−−
`

