香奈の見解はこうだった。





昨日、結婚まで約束した男に一方的にフラれたくせに、その男を想ってメソメソしないのはおかしい、と。





それはつまり、すでに別の男に目移りしている証拠だと。





「………それがコータ君だって言いたいわけ?」



『へぇぇ、その少年、コータって名前なんだ?』



「はうっ……」





し、しまった……




名前教えないつもりでいたのに……





『で、顔は?体は?お金持ちっぽいってどんくらい?』





この状況をあきらかに楽しみ始めた香奈の質問に、





「顔も体も部屋の広さも私好みだったけど、もう会うことないんだから、これ以上詮索するなーーー!!!」





私はとうとうキレた。






だけど香奈から返ってきた言葉は……





『あら、理想の王子様でよかったわね』





と、なんとも呑気なもので、なんだか真剣に叫んだ自分がバカみたいに思えて、私はその場でガックリうなだれた。






はぁぁ…この女だけは……






´