ほんの数時間前−−−
海外勤務に備えて出張が多くなっいた康信の家に、3週間ぶりに呼ばれた。
昼間の電話で『大事な話があるから…』と言われた時には、
いよいよ、具体的な話が出るのね?
なんて柄にもなく緊張してしまいながら。
私がすでに仕事も辞めて結婚に向けて準備万端って知ったら、康信驚くだろうな……
逸る気持ちを抑えつつ、インターホンを鳴らすと、
『……はい』
程なくして聞こえてきた康信の声は、やけに暗かった。
「私、明」
『ちょっと待ってて』
ガチャリ−−
「どうぞ、入って」
開いたドアの向こうから現れた康信は、声と同じでどこか覇気がないようにも見える。
私はそれを仕事で疲れてるんだと勝手に解釈して、
「おっじゃまっしま〜す♪」
元気づけようと、わざと明るく振る舞った。
「……こ、こんばんは」
康信の後ろから怖ず怖ずと見知らぬ女が現れるまでは。
………えっ…?
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