『………よかったじゃない。さっさと失恋から立ち直れて』



「なっ…!?」



『電話に出た時からハイテンションだからヘンだなぁ、とは思ってたんだよねぇ…』



「………」



『でもまさかその相手が年下王子だったとはねぇ…』



「……お、王子って何よ…」



『あら、アンタ、王子様見つけるって言って逃亡したんでしょ?』





あ………そうでした……






『ま、なんでもいいじゃない。
失恋をネチネチ引きずるよりは』






すっかり私がコータ君に惚れたことが前提になってる香奈との会話は、意外にも私の心を軽くしてくれた。








なんだ……そっか……






私、コータ君に惚れてんだ……





まさか龍生と変わらない歳の子を好きになるとは思わなかったけど……






私はぼんやりと5歳下の弟、龍生のことを思い出していた。







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