『……ふ〜ん… そんな状況で何にもないとか言いやがったんだ、その少年は』
観念して私がかいつまんでコータ君から聞いた話をすると、香奈はあからさまに不満の言葉を口にした。
「まあね、向こうがそう言うんだから信じるしかないでしょ?」
それにあんまり気にしてない風を装って答える私。
実は心の中は複雑な気分なくせにね。
だけどなんでかな……
『アンタ、ホントは何かあって欲しかったんじゃないの?』
香奈にはバレるんだよねーー。
「……ゔ… そんなことないもん」
『いーよ、いーよ。私の前ではムリしなくて。
……で、結局のところ、その少年に惚れたわけ?』
ドキン−−
改めてそんな質問をされるとは思ってなくて。
ほ、惚れたって……
私はすっかり我を失ってしまった。
「や、やだなー、んなわけないじゃん!
相手は年下だよ?あの龍生と歳が変わんないくらいの子だよ?
そんな奴に私が惚れるなんて…」
『もう黙らっしゃい!! うだうだぬかす前に、今の自分を鏡で見てみなさい!』
そう言われて、ちょうど近くにあった鏡を覗くと……
「………っ…!?」
そこには、耳まで真っ赤に染めた自分が写っていた。
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