「なんでって…心結 体調悪そうだったから心配でついてきたんだよ」

「……あぁ」

「俺いなかったら大怪我だったぞ?」


うぅ

確かに20段近く落ちたなぁ~



「お前 やっぱ無理してんじゃん」

「……ぃてっ」



颯斗はあたしの頭を小突いた。



「今日は帰って寝ろ。篠山の勉強は那岐と俺が見るから」

「え……いいの?」

「いいの?…って心結はバカだなぁ」

「……。」



バカ?



「バーカもっと頼れよなぁ。俺がいんだろ」

「颯斗……」

「わかった?」

「うん…ありがと」



優しい

あたしはお言葉に甘えて家に帰ることにした。



「しばらく……俺が部活休むよ」

「え?」

「結城の勉強は俺が教えるから。心結は自分の勉強とマネージャーの仕事のことだけ考えてろよ」

「……でも」

「俺に任せろって。1週間……練習できないくらいどうっとことねぇよ」



テスト終わったらまだそこから2週間あんだからさ

休養休養♪……って颯斗は笑った。



このときのあたしは颯斗の言葉の裏に隠れた1つの大きな意味に気付かなかったの。





気付いてあげられなかった。