「よう」
「あ…颯斗 那岐」
「はかどってる?」
「うん」
あたしたちの横にドサッと鞄を下ろす。
「結城は?」
「あっち」
あたしが指差す。
「あーなんだ。兄貴が教えてんだ」
「うん」
今日は藍田先生が翼君担当
「ちょっとあたしトイレ行ってくる」
「うん」
疲れの原因は翼君だけじゃない。
ここ数日徹夜が続いてて完全に寝不足なのだ。
「あー 眠い」
独り言
あたしは特進クラスにこだわってないんだけど
ノー勉で次のテスト特進落ちしたら羽実ちゃんにも翼君にもかっこつかないし
手伝うって言ってくれた颯斗の好意をムダにしちゃう。
だから
家帰って徹夜で自分の勉強してるわけ。
今日は……寝よ。
なんかフラフラするもん…
くらっ
「……きゃ」
「心結っ?!」
階段から足を踏み外す。
―ズザザッ
「…っ痛ぁ」
ん?
あれ痛くない。
「大丈夫?」
「颯斗っ!?」
え……庇ってくれたの?
急いで颯斗の上からどく。
「お前……気をつけろよ!めちゃびっくりしたじゃんかよ」
「ごめん……でもなんで?」