ほっとちょこれーと *【完】



「ん?」

「気付いてないんだ……」



めげずに手を繋いでくる翼君

めげずに振り払うあたし



「やっぱり俺がいつも近くにいなきゃな」

「………?」


よくわからんわ。



「翼君」

「はい」

「あたしに任せてね」



翼君の努力も要君の努力も無駄にしたりしない。




「あのー要君いますかね?」


やってきました2年生の教室



「何やってんの。桐谷先輩」

「ぅわっ?!」



後ろから要君の冷めた声



「あのー話があるんだけど…」


「部活のことでしょ?ふーん、結城に頼まれたんだ」


なんで翼君?


「違うよ。あたしが自分で話しに来たの」


「何言われても結城がやめないなら俺、部活戻んねーから」



要君はそれだけ言うと、スタスタ廊下を歩いて行った。



「待ってよ!要君」

「しつこいな」



うわ

むかつく

人がせっかく説得しにきてんのに…



「おい長谷川 要。聞けって言ってんの!!」



話聞かないのは自分勝手じゃん。



あたしが怒鳴ると要君はぴたりと足を止める。



「………え?」

「要君 男のくせにうじうじしちゃって小せぇんだよ!!」