羽実ちゃんがはにかむ


「もぉ俺、みーちゃんに会いたくて会いたくて夜も眠れなかったよ」


「死ね」


言ったのはあたしじゃなくて、羽実ちゃんだった。



ちょっと見ないうちに強くなった?



「颯斗~ はよ」

「おはよ 那岐。なんか久しぶりだなぁ…この面子」


少し遅れて教室に入ってきた颯斗


「彼女ですか?お見送りですか?そうなんですか?」


「……灯璃、くどい」



語尾に?の無駄遣い




「おう。クラス離れちゃったからね」


「「彼女?」」


那岐と羽実ちゃんの声がシンクロする。


「「聞いてない!!」」


さすがカップル

息ぴったり。



「颯斗と笑ちゃん付き合いはじめたんだよ」


何も知らされてない2人に言う。



「えー?」


あの日の灯璃と同じく、納得いかない表情を浮かべる羽実ちゃん。


そりゃそうだ

颯斗はあたしが好きとか大口叩いてたんだもん。



「いいなぁ~都築さん、可愛いもんなァ」


「藍田 那岐君?」


「さーせん」


笑顔で殺気を振りまく羽実ちゃんに、ペコッと頭を下げる那岐。



「……にしてもさぁ」

「ん?」