「いないのかな…」
颯斗と2人で笑ちゃんの家の前にいる。
1年生の時に1回だけ来たことがあったんだけど、たしか一人暮らししてたと思う。
「しょうがねぇよ 出直そうぜ」
しばらく呼び鈴を押した後、諦めな気味に颯斗が言う。
笑ちゃん……
大丈夫かな?
「あたしはもう少し、待ってようかな」
「え?」
「待ってる」
そう言い張るあたしに颯斗は困ったような顔をしながら言った。
「仕方ねーやつ」
「……。」
「ここで待つのも近所迷惑だし、そこの公園で時間潰そう。1時間くらいしたらもう1回来ようぜ」
あたしの頭をポンと撫でた。
「一緒に待ってくれるの?」
「当たり前」
ニッと笑うとあたしの前をスタスタ歩いてく。
「テスト近いな」
「うん」
「次は那岐と篠山 戻って来れるといいな」
「そうだね」
「サッカー部のやつら…誰も追試にならないといいけど」
「ふふっ」
颯斗の言葉を聞きながら思わず笑ってしまった。
「なんだよ」
「人の世話ばっかりだなぁ~って思って」
「……。」
「優しい~」