季節は、夏真っ盛り。


今年一番らしいこのうだる暑さは、どれだけ人の体力と水分を浪費させれば気が済むのだろう。


とにかく、暑い…。


ぼぉっ、としていた顔の横すれすれを、誰だかよく解らない奴の握り拳がかすめる。


「く、くそっ。てめえらなんかに俺が負けるわけねー………。」


消え入るような声で負け惜しみを言う男の腹には、俺の右足が綺麗にめりこんでいる。


倒れた男はいわゆる、カウンターを食らったのだ。


「せっかく大人数で来たのに、虎を一回も殴れないで終わるなんて可哀想に。」


可哀想、とゆう言葉とは裏腹な笑顔で倒れている男達を見ている光輝は、伶司と優雅にベンチでくつろいでいる。


俺は納得いかない気持ちを思い切り二人にぶつけるように睨んだ。





.