「すっ好きだ!」



何を血迷ったんだか

千歩(カズト)は僕にそう言った。


それが3月9日、

青羽第二中学校卒業式の唯一の記憶。


千歩は中学からの付き合いだったけど

僕は親友だとずっと思ってた。

ちゃんと僕を男としてみてるって

言ってたのに…。









「起きて、起きてよ!雪見」


「ぐふっ」



突然、お腹の上に錘が乗った。


重い…ものすっごく重い!


薄目を開けて何が乗っているのか

確認すると

なんとも男前な顔が見えた。


…神楽だ。


すっとした切れ目で

顔のパーツ全てが男前なのに、

胸には服から若干わかるくらいの

膨らみがあるなんとも不思議な僕の双子の片割れ。


いつも周りに聞かれるから

言っておくけど、

神楽は正真正銘の僕の姉、つまりは女の子。