「ごめんっ。行こっ!」


なんとかギリギリに間に合って、体育祭が始まった。


「いけー!」

「おい、はよ走れ佐久間ぁ!!」


「うっさいねん!分かってるわー!」


私と啓の応援に答えながら走るさっ君。


結構はやい…。


それから、奈々、英二…


みんな順調に商品券をもらってる。


そして次は男子リレー。




「啓ー。調子のって転けんなよ。」


「誰が転けるって?」


啓は見るからに自信満々。

そりゃ運動神経バツグンやもんなぁ。


「美緒、俺の走りちゃんと見とけよ?」


「あ、当たり前やんか。速く走るためのこつが分かるかもしれへんもん!」


「そ…そーゆー意味やなかってんけどな。」



へ?

見とけってそういう事やろ?



「ま、いいや。じゃ!行ってくる。」


「うん。頑張れ!!」


嬉しそうに走っていく啓の後ろ姿に私は大きく手を振った。



それからしばらくしてリレーがスタートした。


「「頑張れー!!」」


奈々と必死で応援。

啓はアンカーだから、まだ走ってないしなぁ。



…でも、よく考えたら

こんなに啓の走りを応援するのは初めてかもしれへん。


去年はまだ好きな気持ちに気づいていなかったからかなぁ。


「あ!美緒、啓でてきたよ!」

「え!あ、本間や!」


頑張れー!


と、言おうとした時、



「あぁーっ!!」

周りから声が沸き上がった。



せっかくトップだったのに、啓の前の人が転んでしまったのだ。