さっ君は相変わらずの態度で接してくれる。


話で盛り上がって来たときに丁度チャイムが鳴った。

「席つけー。」


先生が入ってきて皆バラバラの席に座る。


毎日がこんな楽しかったらええのに…。



「じゃあ、体育祭の出る種目を決めたいから、考えとけー。」


先生がそう言うと辺りはざわめき始める。



種目かぁ…。

リレーとか私が出たらえらいことなるやろなぁ…。



その日、結局私がやることになったのは…












リレーだった…。


「なんでぇっ。」


「おい、そんな走るの嫌なんかい。」


授業が終わってからも嘆く私を啓は横から慰め…?てくれる。


「走るの遅いねん…啓は知っとうやろ。」


「そやな。」


む…そんなズバっと言わんでも。



私がむくれて黙り込むと、啓は聞いてきた。


「なんでそんな体育祭にかけてんねん。なんかあるんか?」


「そりゃ、お泊まり券欲しいからやんかぁ。」


「そんな欲しいんやったら、俺のやるわ。」


「えぇっ!?それは…。」


親切で言ってくれてるのは分かるけど…啓がおらな意味ないやん。


「なんやねん、欲しくな…」


「アホやなぁ。啓と一緒にいたいから啓の券もらっても意味ないでしょ?」


啓が喋ろうと口を開いた瞬間に奈々が言った。


さすが奈々!

私が思ってる事は全部と言っていいほどお見通しやん。



「あ…そ、そか。」


啓は何か悪い方に勘違いしていたらしくて、思いがけない奈々の言葉の意味に照れたように私を見た。



私は照れている啓を見て、余計照れくさくなった。



「やから、お前あんな家でも渚さんに付き添ってもらってまで、頑張ってんのな。」


「うん…ごめん。」


「なんで謝ってんねん。その……………嬉しかったし…。」


最後の"嬉しかったし。"の所だけやけに声が小さかった。


「ぅん…。」


つられて私も小さくなる。


そんな私たちをみて、奈々と英二は笑った。