「啓は…優しいから…、せっかく伝えてくれた相手の気持ちをフルのも…辛かったやろ?」

「…。」


フラれる女の子達のことばかり考えて…

啓の事、考える余裕なんてなかった。


「私ずっと、彼女なのに…啓の事を一番に考えるべきやったやんな…。だから、ごめん。」


私がちゃんと彼女として堂々と啓を捕まえてないと…
いつか誰かに取られてまうかもしれへん…。



それは啓のためにも、私のためにも、あってはいけない事。


「…。」


さっきから啓は黙ったまんまだった。



私は不安になって顔を上げた。


「…あのさ…、お前やで。俺をこんなんにしたん。」

「…え?」


啓はまた私を抱き寄せた。

「忘れとうやろ…。お前さ、幼稚園の時、俺が告白されて返事適当にして帰ってきた日…"その子の頑張った勇気を知らないくせにっ!"ってキレてさ。」


「うそやん…。」

そんなん、まったく覚えてへん。



「俺は俺で美緒が好きやったから、そんな事いわれて、ついカッとなって喧嘩したんやで?」


「…そうなんや。覚えてへん。」


「アホ。ま、それからはお前が言うとうり、相手の気持ちは大切に扱うようにはしとうで。…やから!俺が告白しっかり聞くのは、お前のせいなんや!」


…結局、それって褒めてんの?

私に怒ってんの?




あまりにも話が綺麗すぎる…しなぁ。



「…嘘ちゃうやんな?」


「こんな上手い嘘つけるかいや!真面目に聞け!!」

「い、一応聞いてみただけやんか。」