次の日の昼休み。


「啓ーっ!1年がお前呼んでるぞー!!」



私の隣でお弁当を食べていた啓はため息を付きながら、お箸を置いた。


「…いってくる。」


「…うん。」


モテすぎや…
行って欲しくない。


「おーい!啓ーっ!!!」


「わかったから。今行く!」

彼女いるんやけどなぁ。

私は教室から出ていく啓を見つめた。


しばらくして廊下から啓のイライラした声が響き渡った。


「なんでやねん!んなわけあるかっ!放せや!!!」


ビクッ!


私はビックリして持っていたお箸を落としてしまった。


「な…何?今の…。」


「何やろ…。」

「美緒、見に行こ!!」


へ!?

告白してる所なんて彼女に見られたくないやろし…。


「いいわ…。」


「何で?美緒は啓の彼女でしょ!見に行く義務があるの!」

結局、奈々に無理やり連れていかれた。

廊下の曲がり角で啓の背中が見えた。


近づくと、横顔も見えてきた。


「関係ないやんけ!」


啓の関係ない怒鳴り声しか私に響かない。


けど、私の足は止まってしまった。


私、何がしたいんやろ…?

彼女ってこういう時、どうすればええん?



ただうつ向いて考え込むばかり。


その隣で奈々は啓と相手の女の子の姿が見えていたんだろう。


「美緒…あれ…あの子って…。」


奈々は言葉を失いかけている。


私はその声に気づかず、絶えず啓の声だけが響いていた。


「放せや!…止めっ…」


啓の声が途切れた。


私はその瞬間、おもわず顔を上げた。


その目に飛び込んできた光景は─…



き…す………?


「鈴…ちゃん?」


「美緒っ!?…放せや!」


私に気づいた啓は慌てて鈴ちゃんの腕をはらった。


「え…何…して……。」


私…今どんな顔をしてるんやろ。


泣きそう?

怒ってる?




いや…私、

今きっと…