─まだエッチしてないのよね?─


うっ…
やば…耐えられへん。


「啓!おーきーてっ!!」

私は耳元で叫んだ。



「うわぁ!!」

啓は跳び跳ねる。


「やっと起きた…。」

私がそう言うと啓は私を見て真っ赤に顔を染める。



…ん?

「な…何?」


「あ…いや、何でお前…顔赤いん?」

「へ!?」

思わずほっぺを両手で隠した。


「啓だって赤いやんか!」

「いや…これは夢で…お前が…。」


ゴニョゴニョと口ごもる啓。



「と、とにかく!ご飯できたで。早く食べようや。」

「お、おう。」


食事中…

「うっ…上手いわ。やっぱロールキャベツ最高やな。」

「そ、そやね。」



「…。」


「…。」


会話が続かない。

2人きりのリビングにテレビの音声だけが響く。




うわー…。
この雰囲気どうしよか…。
啓もさっきからそわそわしている。


…こんなんで明日からの旅行は大丈夫なんかな…。


2泊の沖縄旅行なのに…。


なぜか重い雰囲気になりそうになった時、

「ただいまー。」


え?

「お兄ちゃん、早くない?」
お兄ちゃんが帰ってきた。


「いやさ、今日は患者も皆安静だったし、先輩が昨日徹夜勤務だっただろうからって、帰らせてくれてさ。」