「なっ…どうしてん。」


啓は突然の私の行動に耳を真っ赤にさせている。


「私にも分からないけど、急にこうしたくなっただけ…。」


すると、啓は黙ったまま優しく両手で抱き締めてくれた。


…でも…



ぎゅーっ




く、苦しい。

「け、啓。苦しい…。」


「アホか。お前から抱きついてきてんから、お前に拒否る権利はないで。」


何それ!?

なんか嬉しいような、嬉しくないような…。



そう考えながら、啓の腕の中にいることに幸せを感じていた。



…暖かい。




「おーい。お2人さーん。ラブラブの所邪魔して悪いけど、ご飯食べるでー。」


ババッ!!


私たちはお兄ちゃんの声に慌てて離れた。

お互い顔を真っ赤にして。

「ええなぁ。若い子は。」


「お兄ちゃん!ジジ臭い!!」


それからご飯を4人で食べて、お兄ちゃんは渚さんを送りに行った。



今は私の部屋に啓と2人きり。


「美緒っ!」


「うわっ!?」


いきなりベッドの上から抱き着かれた。


「はーっ、癒されるわ。」


私はだき枕か…。


「なんかあったん?」


「ん?別にこれと言ったことはなかったけど今急にこうしたくなった。」



キュン…


不覚にもキュンとしてしまった。


私は後ろからくっつかれた状態に、息が詰まるほど緊張していたのに、時間が経つにつれ、落ち着いてきた。