それからというもの、私はずっとモヤモヤしたまんまやった。

きっと部活が終わってから、家に帰る間にあの女の子に追いかけ回されてたんやろう。


じゃなきゃ、あんな疲れた顔せぇへんもん。



帰りが遅い原因は解決した。

啓がかっこいいのは誰から見てもそう見えるとは思う。


でも…



なんか複雑やな…。



そんな思いを持ったまま、相変わらず私は渚さんと体力作りに取り組んでいた。

「美緒ちゃん?どうしたの?ぼーっとして。」


「へ?そんなことないで?集中しとうって。」


啓のことを考えるのは後にしよう。

今はこっち優先やな。



「だだいまー。」

あ、お兄ちゃん!

「徹、おじゃましてるね。」

「おう。」


いいなぁ。

私も早く啓に帰ってきて欲しい…。



ガチャ…


「ただいま。」


啓や!!


「啓っ!おかえりっ!!!」


私は帰ってきたばかりの啓に抱きついた。


モヤモヤしてたことなんて忘れていた。