寝起きの癖に力ありすぎやし。

「なぁ、なんでそんな疲れてたん?」



「あ…いや、大した事ちゃうから。」


大した事ちゃうって…?

気になるやん。



「何なん?気になるやん。」

「だから、んな気にする事ちゃうって!」


…なんか変。

何でそんなムキになるん?

でもこれ以上突っかかると喧嘩になりそうやから、止めとこ。



「うん、分かった。ご飯食べようや。お腹空いてるやろ?」


「あ…ああ。」


私は変なままなのは気になるけど、気付いてないフリをした。


「いただきまーす!」

啓は大きな声を出して、ご飯を食べ出した。


でも、声の割にはあんまり食べてない。

本間どないしたんやろ…。
気になって仕方がなかった。


「ごちそうさま…。」


食べ終わったらしいが、全然食欲がないのか、いつもより食べる量が断然少ない気がする…。


いっぱいになったお腹を押さえながら啓はソファーに座った。

「啓…。」


何か私に言えない隠し事してる?


怖くてさすがに聞けなかったけど…。


次の日…




「風岡せんぱーい!」


私と啓は並んで歩いてたのに、その真ん中をちょん切るように鈴ちゃんが割り込んできた。


ムッ…なんで間に…。



そりゃヤキモチも妬いたけど…鈴ちゃんが年下だから、なんとか押さえた。


そのまま私の事なんか気にせず啓に話続ける鈴ちゃん。


私はその横でうつ向いて無言で歩いていた。



すると…


「おい。美緒、こっちこい。危ないやろ?」


…え?


グイッと腕を引っ張られて啓の横にひっつく体制になった。



「へっ!?」


「そっち車道側やから。お前、目話したらフラッとどっか行きそうで怖いわ。」

…キュン…


ちょっと…


いや、めちゃくちゃ嬉しかった。



ちゃんと違う子と話してても、私の事を見てくれてるんや。



「…ありがとう。」

「ん。」



私たち2人の会話を聞いていた鈴ちゃんが、はっとしたような目で私たちを見た。