「渚さ…ん。これ…キツいです…。」


「そんなんじゃ鍛えられないわよ?」


「うっ…。」



只今、私は来週の体育祭で筋トレ中。


渚さんは運動神経バツグンやから、教えてもらってるねん。


「腹筋割れるっ!!」


「こんなんじゃ割れないわよ。割りたいんだったら、もっとキツくなるわよ?」


うわ…渚さんの目が光った…。

「そ…そういう意味じゃ…。」



バタン!



「うわっ、何!?」


「…誰かしら。」


私と渚さんは音が聞こえた玄関の様子を見に行った。

ひょこっと顔を除かせると…


「啓!?どしたん!?」


見ると啓が廊下に倒れ込んでいる。


「し…しんどい……。」


「相当疲れてるのね。」


私と渚さんで啓を抱えてリビングのソファーに寝かせた。



すると、すぐに啓は寝てしまった。

部活帰りにしては遅いなぁと思ってたけど、なんかしてたんかな…。



しばらくして、渚さんは親が待ってる家に帰る時間になった。


「もう!お兄ちゃんも早く帰ってきてあげなよ!!」

お兄ちゃんはいないのに私は口から言葉が漏れた。「あはは。いいの、元に戻れただけでも美緒ちゃん達に感謝してるんだから。」



「な…渚さん…。」


あぁ。

目がうるうるする〜…。



「じゃあ、お邪魔しました。」



「ばいばーい!また筋トレ教えてなぁ!!」















私がなぜこんなに体育祭にこだわってるのかというと…




「お泊まり券ー〜!・!」



ビクッ!!?




な、何?

寝言?


突然啓が叫び出した。


そう。
私たちの高校にとっては毎年恒例の商品券、それは─…





学校で皆でワイワイ騒ぎながら盛り上がる、そして、朝まで語り明かす券!

もちろん食べ物は先生が頼んでくれて、お腹いっぱいになるし、皆でわざわざ温泉にまでいったりする。


これが全部タダ!!

こんなお得な話ないやろ!