でも…


遅い。

さっきから目をつぶって待ってんのに、一向にキスしてくる気配がない。


俺はだんだん我慢が出来なくなってきた。


美緒のことだから、自分から口にするのは恥ずかしいとか、そんなんだろ。



「…もぅ我慢できへん…。」


「んっ…。」

美緒の声が漏れる。


俺は少し強引に、でもちゃんと優しくキスをした。



朝からキスって…

俺どんだけ…。



少し反省もしたけど…



唇をはなした瞬間に見た美緒の幸せそうな顔で、単純な俺は開き直ってしまった。




外は大雨。


「なぁ…今日学校行けんのか?」


朝ごはんを食べながら、横に座る美緒に聞いた。


「びしょ濡れになるやんな。」


そう言って美緒もパンを頬張る。




すると…





ピンポーン…




「あ?」


俺は口に食べ物が入ってて言葉をはっせなかった。



美緒は立ち上がって玄関まで行った。



どーせ新聞代とかそんなんやろ…。



と、安心していると…




「お兄ちゃん!?ど、どしたの?」


美緒の驚いた声にビックリした俺はパンを頬張ったまま、玄関まで行った。