「あ…言ってなくてごめん!そんなショック受けんといて…。悪気があったわけじゃ…」


直哉君にだけ秘密にしてたわけやないねんけど…。

怒ってへんかな…。



「いいって、美緒。そんな理由でショック受けてるんじゃないから。こんな奴ほっといて行くぞ。」


ぐいぐい引っ張られるからちゃんと直哉君に謝られなかった。

しかも…




「啓…?私達の教室あっちやで?」

「分かってるわ!」




…怒ってる…。










「あ…のさ、啓…怒ってるん?」

恐る恐る聞いてみた。


私…なんかしたんかなぁ…。




「…お前がいろんな奴に好かれ過ぎやねん!アホ!!」

何それ!
アホとか言うな!


「はぁ!?どーいう意味!?」
「自分で考えろ。」



そえ言って教室に入った。

「おはよー。」


「おはよ!美緒達も今日は疲れてない?」

「うん…ちょっと。」



奈々達も相当疲れているみたいや。

「お土産渡した〜?」


そうだった!

「まっ、まだや!」


私が渡しに行こうと席を立ったとき、啓が言った。


「待てや、1人で行くな。俺もついてくから、昼休み行こうや。」

「うん。ありがとう。」


「目ぇはなした隙に敵の餌食になってるかもしれへんからな。」

最後にポソっと啓が何かを言ったんやけど、それはよく聞こえなかった。