「風岡?もしかして美緒ちゃんとよく一緒にいた子?」

「はい!」


「え?何で俺の事知ってんですか!?」

「一時美緒ちゃん家によくお邪魔してたから。」



啓は納得したようだ。




「それじゃ、またね!」

「はーいっ。」


「あ、そうだ。彼氏くん、ちょっと…。」



え?

渚さんは啓の耳もとで何かを言った。


…渚さん、何言うたん?




気にする私をよそに渚さんはこう言った。

「じゃあね。」


そう言ってあっという間にいなくなってしまった。



渚さんのさっきの元気のない表情が目に焼き付いて離れない。



…なんやったんやろ。



グイ!


な、何!?



啓がいきなり私の肩を掴んだ。



「な…どうし…」

「何もされてへんか!?」


「へ!?」

「ナ…ナンパ…。」


「あ、大丈夫やで?」

そう言って私は笑った。



もしかして渚さん、それをさっき言ったん?


「アホ…早よ来てやれなくてごめん。」

そう言って啓は私の手をぎゅうっと握った。


「ううん。全然ええよ。」





やっぱ大切にされてる…




って分かる…。