絡んできた人たちはしぶしぶ去っていった。

「大丈夫?美緒ちゃん。」


…へ?



それはそれは綺麗な黒髪のかっこいいお姉さん。



あ!

もしかして…


この人…






「渚(ナギサ)さん!?」



「あ、覚えてくれてたんだ。」

そう言ってその人はにっこり笑う。



うわー…変わってへんなぁ。


渚さんはお兄ちゃんの元カノ。


「渚さんも相変わらずかっこいいですね!変わってないです!」

「あら、美緒ちゃんはずいぶんと大人美人になったわね。昔から可愛いとは思っていたけど。」

「い、いや…そんな事ないですよ。」


「見違えたわ。」



私が空港で見かけた人はきっと渚さんや。


「でも、なんで沖縄にいるんですか?」

「あぁ、仕事関係でね。」


「そうなんですか。大変ですね。」

「ま、自分で決めた道だから。」




…あれ?

今少し元気のない表情になった気がする。

なんか渚さんらしくなかった。



「おい!美緒ー!」

「あ、啓!こっちやで!」


私を見つけた啓は小走りで駆け寄ってきた。



「あら…美緒ちゃんの彼氏?」

「あ、はい!風岡啓です。」

いきなり話をふられてとっさに答える啓。


そのあわてっぷりが可愛かった。