《そう!パパがね、会社の飲み会のビンゴで当てた商品券らしいの。》


そういえば、奈々のお父さんは有名な会社に務めてるんだっけ。

「え、それってタダって事なん?」


《そうそう!ね、ちょうど4人分だから行こ!》

「い…いいん?」

《てか、来てくれないと勿体ないじゃん。》

「ありがとう!じゃ、是非とも行かせてください!」


こんな贅沢ないわ!

「え!?何、どっか行くんか?」

啓が私の方に寄ってくる。

「あ、じゃあまたね!うん。ばいばーい。」

私は電話を終わらせた後、啓に話した。


「あんね、奈々がタダで旅行いけるから一緒にって。」

にこにこしながら言うと啓は放心状態になった。


「は…旅行?」

「…?うん。」



どうしたんやろ。

私を見てくれへん。


「行きたくないん?」

「いや、んな訳ないやろ。行くわ。」


パッとそっぽを向いて言う啓。


…変やなぁ。



「それってさ…4人なんか?」

「みたい。」



それを聞いて啓は何かブツブツ言っている。

「まじかよ…やべぇ。」


「何がやばいん?」

「あ、いや!別にっ。」



焦っているらしく、急いでまたソファーに座り直す。

…何?

そんな反応されたら気になるやんか。


私は啓の横に座って顔を覗き込む。




んちゅ…




「…え?」

不意打ちでチューされてしまった。


「無防備すぎ…。」

ポソリと啓が呟く。