2人とも何も喋らなかったけど、長い沈黙でさえ心地よかった。

少ししてから啓が先に口を開いた。


「なんかさぁ、付き合ってから2人で旅行は初めてやしさ…。」

「うん。」


「俺…正直緊張してたんや。」

「…え?」


啓の言葉にビックリして横を向くと、真っ赤な顔の啓がいた。



「そ…そんなビックリすんなや!」


「だっ…て…。」


変なの。

今までにも家族とかで旅行一緒に行ったことあるやん。


あかん、笑ってまう。


「緊張なんかせぇへんやろ。いっつも一緒におったのに。」


「なっ…そういう事じゃなくて!」

「…何?」


「もうええわ!お前まじで鈍感王女!!」



そう言って啓は海に入ってった。



「はぁ!?どういう意味!?」


続き気になるやんか…。

ま、ホテルで聞けばいっか。


啓を追って私も海に入る。
2人で遊んでたらまもなくして奈々と英二が戻ってきた。


それからまた4人で遊んだのち、海からあがって、観光を楽しんだ。



あれだけはしゃいだのに私も啓も全然疲れていなかった。

奈々と英二は相当疲れたみたいやけど…。


「やっと着いたー。」

奈々がフロントの近くにあるふかふかのソファーに腰かける。



「奈々ばばくせぇ。」

啓が横からいらん事を言う。