「サ、サーブからきっつ〜。」

啓が横でへらへらと笑う。

「あのさ、英二、たしか…中学はバレー部だったっけ。」

私は英二に聞いてみた。


「あー、いやいややってたけどな。」


そう言うわりには上手い!

ボール、当たったら痛そうやし…。



「す、すごい。」

私がボソッというと啓は私の方を向く。


その顔はかなり不機嫌顔。
あれ…?


「何?どしたの?」

って聞いたら…



「そのすごい英二に勝ったら何かくれや。」

「は?無理やろぉ。めっちゃ強いやん。」


「だから、勝ったら何かくれな。」


…何かって…?


訳がわからないまま、強引な啓に仕方なく私は頷いた。


バシッ!



「うぉ!?」



ズサーッ!!




「啓、大丈夫!?」


さっきから際どいボールを必死で受けようと滑り込みしてばっかり。




どっか擦りむいてへんかな…。


心配しながら私も飛んできたボールは落とさないように相手チームに返す。



奈々が下手くそだったから、英二が強くても、どっこいどっこいだった。



「美緒、意外とやるやんけ。」


「バレーだけやけどなぁ。」
バレー部に所属していた訳でもないから、ただ好きなだけ。


「次、高くあげてくれな!」
そういって飛んできたボールに飛び付く。



すぐさま私が受け取って、啓の頭上に高く上げる。