「け、啓!!?ななな、なんでっ…!?」

私は1人更衣室の隅に寄った。


…といっても、お店に置いてあるようなボックスだから、一辺が1メートルの正方形の面積しかないんやけど。


啓の声は目の前のドアの向こうからしてきた。



「お前があまりにも遅いから、来たに決まってるやろ。」


あ…

心配かけてもたんかな…。


「そ、そか。でも、私、海入んないし。」

「は?何言うてんねん。沖縄やぞ?入れや。」



「だって…。」


「………お前がおらなつまんないやろ…。」



ボソッと独り言のように呟く啓がなんか可愛く聞こえて…。


「…わかった…から。」


「から?」



「向こうで待っててや!」



こんな近くで着替えるのは恥ずかしすぎるやん!

壁があったとしても音とか気にしてもて、着替えられへん。



「ちぇーっ。」


啓はドア背もたれにしていたのか、カタンとドアが浮いた。



ほっとした私は着替え始める。


…実はもしものために買っておいた水着。


小さな花柄模様が人気のブランドの水着で、スカート風。


最初、スカートがヒラヒラだったから止めようとしたんやけど…。

菜々が試着してみな!って言ってくれて着てみたら案外可愛かったんや。


でも、啓は見たらなんて思うんやろう。