「あ、美緒たち、こんな所で迷子にならないでよ?」

「だ、大丈夫だって。」

「美緒はまだしも、俺は迷子なんてならへんわ。」

「ちょ…まだしもってなんやねん!」


私達はテンションが上がりすぎてうるさいくらい。


「あ、あの飛行機だよ。」

奈々と英二に着いていく。


機内に乗り込んだら、座席が決まっていた。


「じゃ、美緒達はこっちね。」

「うん。ありがとう。」


奈々達の座席の後ろの席で座るらしい。

啓が座席に近い所にいたから、先に奥に座るもんだと思っていたら、ずっと立ったままでいる。



「?…どうしたん?」

「ん。先入れや。」


「え?」

「奥行け、奥!」


ぐいぐい押されて窓側の席に着いた。

啓のこんな小さな心配りが大好き。


でも本人は優しくするのが恥ずかしいのか、照れているらしく、私の顔を見ようともしない。



「けーいっ!」

「なんや?」



チュ…




しまったぁ!

顔近づけすぎてもた。
ど、どうしよ。
どんな顔したら…。


私も自分でやっといてなんやけど、まさかチューするとは思わなくて…。


啓も相当驚いてるみたい。

顔真っ赤にして、口を片手で押さえてる。


「あ…あはは。ごめん、まさかこうなるとは思わなくて…。」




チュッ








え?



「け…い?……んっ!?」

突然啓に迫られて動けなくなった私。

啓は機内にもかかわらず私の唇を求めてくる。


「まっ…ここ、人がっ!」

やっとおさまったのか、啓がポソリと呟く。