♪〜♪〜


気持ちよく流れる爽やかな音楽が聞こえる…。


なんか、暖かい…。



「ふぁ…ぁ。」

私は眠たさを押さえきれず、あくびをした。


「あ、起きた。」


…へ?

すぐそばから啓の声がしたから驚いて振り返る。


「はよ♪」


「わっ…お、おはよ。」


啓にもたれ掛かって寝ていたから慌てて離れた。

…てか、今ので思いっきり目が覚めたわ。


ここ…車の中?

運転席にはお兄ちゃんが座ってて、助手席には渚さんが座っているのが見えた。



「は?なんで離れんねん。」
あ、啓のその不機嫌な顔久しぶりに見た気がする。



「いや、嫌とかやなくて…ビックリしただけやから…。」


「じゃあ、もっかいくっついとけや。」


「いや…そ、それは…。」


なんか恥ずかしい!


「ど、どうしたん?急に…?」


私がそう聞くと、啓は拗ねたようにそっぽを向いた。


「前でイチャイチャされるから、対抗心もやしてん!」


…なんやそれ。


「ふっ…ふははっ!」

うわー。

変な笑い方になってもた。

「うわ、お前そんな変な笑い方やったっけ?」

し、失礼な!



「俺たちはんなイチャイチャしたつもりなんかないでー。」


密かに私たちのやり取りをきいていたのか、お兄ちゃんがいきなり啓と私に向かって言ってきた。



「えー、してたやんかぁ。」


「してへんわ!」


…渚さんが少し照れているように見える。


私はその光景が微笑ましくて、無意識に笑っていた。