「啓早くー!」

「分かってるわ、うるさいねんお前!」


「はぁ!?」

朝から口喧嘩。

いつものじゃれあい程度やけど。


「じゃ、お兄ちゃん、行ってくるわ。」


まだ朝の4時。

お兄ちゃんの勤務先は家から電車一本ですぐ着くから、いつも医者でも5時半くらいに起きる。


まだ寝ているお兄ちゃんに言った後、私達は家を出た。


走って駅に向かう。

「ちょい遅刻すっか?」

「うーん、多分。」


走りながらの会話はきつい。

荷物重たいし、それに昨日は緊張し過ぎてちゃんと眠れんかった。


朝起きたら、啓はもう1人で起きてたし。

改札口のところで奈々と英二を見つけた。



「あ、来た!」

英二が言った。


「おんな走ってこなくてもよかったのに。」

奈々も続けて言う。


「車もう呼んでるからさ、行こうぜ。」

「おう!」


4人とも車に乗る。

車の中では、みんな眠たかったから寝てしまっていた。



「皆、空港に着いたよ。」

「え!?あ、ありがとうごさいました!」


英二のお父さんにお礼を言って、4人でぞろぞろと降りた。


「うわー、なんか高校生だけってハラハラするなぁ。」

「なんやねん、それ。」

私が4人での旅行に緊張していることをはなすと、伝わっていないのか、啓は笑うだけ。