「すいませーん。券とカギを取り替えてくださーい。」


職員室のドアを開けると先生がカギを渡してくれた。


「仲本、お前去年からは考えられない走りだったな。」


「あ、ありがとうごさいます!」


褒められたー!!



私は皆のいる所に戻ろうとした時、後片付けした後の倉庫の近くで、何かもめてる声が聞こえてきた。


関わりたくないとは思うけど…

気になる。



恐る恐る近づいていくと…

「あんたが"私に協力すればあいつに痛い目合わせられる"って言ったんでしょ!?」


あれ…この声…。



「そっちがもっとゆっくり走ればよかったのよ!」



こっちの声は鈴ちゃんや。
もしかして…さっきからあいつあいつって…それ、私?



うわ…最悪。

こんな時に…気分がた落ちや…。


「勝手なこと言わないでよ!あんたズルいのよ!」


リレーでわざと遅く走った子が鈴ちゃんに言った。


…君だってズルいやろ。


それを聞いて心の中で言う。




「はぁ…声大き過ぎ。頭痛いっつの。」


「はぁ!?聞く気あんの?あんた!?」


「ないって言ったら?」


うわ…相手あんなカンカンに怒ってんのに鈴ちゃん、ビビってへん…。


すごいわ…。




「なによ!あんたなんか死ねば!?」


ドンッ!


突き飛ばされた鈴ちゃんは積み上げられた荷物にぶつかりそうになる。




あ!!


「危ない!」


私は思わず飛び出してしまった。



ガシャーン!!


積み上げられた段ボールや鉄パイプがたくさん落ちた。



「いったぁ…。」


私は足に鉄パイプがあたってしまって力が入らない。

「な…美緒…お姉ちゃん?」

「ん。怪我してへん?」


「…し…てない。」


気のせいか鈴ちゃんの声が震えている。


私は足の痛みを我慢して何とか立ち上がった。


鈴ちゃんは幸い、怪我はしてないみたい。



そして周りを見渡すとさっきまでいた子がいなくなっていた。


…逃げたな…。