愛のない世界

「愛している…」
男は、彩香を抱きながら、何度も口にした。


「もっと、言って…」
― 嘘でもイイ、もっと言っていて…
嘘でもイイから… ―

彩香の躰は、男に抱かれながらも、尚も求めた。



何度聞いても、聞き足りない、愛の言葉。


何度言っても、言い足りない、愛の言葉。


永遠に、互いの愛に触れていたかった…。



― もし、それが嘘だとしても…