― チッ。また、やってしまった。―

隣に寝ている顔も名前も知らない男を見て、舌打ちした。

そして、彩香の裸体に絡めていた男の足を蹴飛ばした。

「イテッ…」
男は一言だけ言って、起きる気配もなく寝返りをしただけだった。

― ふざけんなっ! ―
そう言ったつもりが、声にならない。
イライラが募る。
更に、それを逆撫でする様に、男の高イビキが彩香を苛立たせる。

『ふざけんなっ…』
心の中で、罵る。
なのに罵った言葉は、隣で寝ている男にではなく、最早、自分自身に言ったモノだと気付いた。

… ふざけんなっ! …