「あのとき……」 華子は、まだ空けもしていない缶コーヒーを両手で握りしめた。 「私は、あの人を止める事が出来た。 あなたが離れていくと知ったときのあの人は、今にも飛び出して あなたのもとへと行きそうだった。 思い出すわ…… あの形相……獣そのものだった。 思わずあなたに、逃げてと伝えようとして、携帯を手にとった…… だけれど…… 年のせいか……そんなには素直になれなくて…… むしろ それで不幸になってくれればなんて……思いさえ……。 結果、案の上で……。 でも……… でも…………」