私に恋を教えてくれてありがとう【下】


「あのとき……」


華子は、まだ空けもしていない缶コーヒーを両手で握りしめた。


「私は、あの人を止める事が出来た。

 あなたが離れていくと知ったときのあの人は、今にも飛び出して

 あなたのもとへと行きそうだった。


 思い出すわ……


 あの形相……獣そのものだった。


 思わずあなたに、逃げてと伝えようとして、携帯を手にとった……

 だけれど……

 年のせいか……そんなには素直になれなくて……


 むしろ

 
 それで不幸になってくれればなんて……思いさえ……。


 結果、案の上で……。



 でも………



 でも…………」